地域社会からグローバルなインパクトまで

ロータリーのビジョンと価値観を共にする人びとや団体との協力を通じ、私たちはロータリーの行動計画の四つの優先事項を支援しながら、有意義なクラブ体験を作り出し、世界各地でのロータリーの公共イメージと認識を強化し、「よいこと」を行うための能力を高めています。

— ジョン・ヒューコ、国際ロータリー事務総長兼CEO

ロータリーの成長と会員体験の向上は、引き続きロータリーの主要な目標であり、特に、インクルーシブで、協力を促し、個人的・職業的に成長できるような、みんなを温かく受け入れる、前向きなクラブ環境を目指しています。

クラブでの体験

2022年ジェニファー・ジョーンズRI会長は、自身の心地よさと配慮という会長イニシアチブの一環として、人びとを温かく迎え入れるクラブ環境をつくるよう会員に奨励しました。ロータリーの調査によると、クラブでの好ましい体験は、満足度を高める唯一かつ最大の要因であることが分かっています。人びとが歓迎され、受け入れられていると感じるられるようにすることは、現会員と入会候補者を惹きつけるために不可欠です。

みんなを温かく迎え入れるクラブ体験を作り出すロータリーの活動の一環として、今後も多様性、公平さ、インクルージョン（DEI）へのコミットメントを強化していきます。現在、250人を超えるDEI委員長が、クラブがより多様で、公平で、インクルーシブとなるための機会を見出しています。また、DEIタスクフォースは、DEIのフレームワークの実行について、RI理事会ならびにロータリー財団管理委員会に助言しています。

ロータリーに対する大きくなる関心

会員増強と参加促進は引き続きロータリーの主要な優先事項です。3月1日現在、401の新たなロータリークラブならびに420の新たなローターアクトクラブの加盟申請を承認しました。これには、ベトナム初のローターアクトクラブであるOne Million Lives Saigonローターアクトクラブも含まれています。

ロータリーへの関心を示す人たちの数は引き続き増加しています。このような関心の高まりに対応するため、入会候補者情報プログラムを拡充し、再入会や移転する会員や会員候補者が、ロータリークラブだけでなくローターアクトクラブへの入会についても問い合わせできるようにしました。また、会員が自らのクラブに候補者を推薦できるようにしたほか、携帯端末からの作業もより良く行えるようにしました。  

行動するローターアクト

ローターアクト会員の関心に対応することは、ローターアクトがロータリー組織全体により深く関わるようにするための一つの方法です。ローターアクトクラブは現在、グローバル補助金に申請できます。また、ローターアクターはロータリー委員会の委員を務めることができるほか、国際ロータリーやロータリー財団の奉仕賞の推薦対象にもなります。ローターアクター、ローターアクトクラブ、例会の詳細、ローターアクト役員をMy ROTARYから検索することができます。

世界ローターアクト週間（3月13～19日）の間、My ROTARY、ソーシャルメディア、Rotary Voicesのブログでローターアクトのストーリーや達成を紹介しました。

別途の行事にする代わりに、ローターアクト大会前会議の一部を初めて国際大会に組み込みました。これにより、よりインクルーシブなイベントが可能となり、すべての会員の国際大会での体験が向上しました。友愛の家ではローターアクト専用のブースができたほか、ローターアクト多地区合同情報組織のための会合も開催されました。

クラブを超えて参加者の基盤を広げる

行動がインパクトになる 

ロータリー行動グループは、会員やロータリーの支援者が具体的な専門分野での知識を生かしたり、クラブがより大きなインパクトをもたらす手助けをします。今年、27のロータリー行動グループにおいて、150カ国の36,000人以上のメンバーが活動し、知識、情熱、国際的な専門知識を生かして、640以上もの有意義な奉仕プロジェクトの実施においてクラブや地区を支援しました。 

コミュニティを築き、積極的な参加を 

ロータリー親睦活動では、共通の趣味、職業、または特定のアイデンティティを持ったロータリー会員や支援者がグローバルなコミュニティを築いています。2022年から2023年にかけて、100を超えるロータリー親睦活動グループに、150カ国以上から50,000人以上が参加しました。

また、今年度は八つの新しい親睦活動が誕生しました：

• 占星術
• コンポスティング
• コーヒー愛好家
• 美術
• 舞台芸術
• カンナダ語文化
• パブリックスピーキング
• ラグビーファン

ラーニングセンター 

今年度、ロータリーのラーニングセンターを新たに利用した人は2万人以上に上りました。20以上の言語で100以上のコースと学習プランが利用可能となっており、ロータリーを通じたスキルの向上や成長のための十分な機会が提供されています。

2,000人以上の会員が最新の学習プランであるリーダーシップの基礎を受講しており、大きな成功となりました。

ブランドのメッセージを一貫して使用し、ビジュアルアイデンティを正しく適用することは、ロータリーに対する人びとの認識と理解の向上に必要不可欠です。入会候補者、会員、一般の人たちが、ロータリーが地域社会にもたらす価値を認識して初めて、私たちは活動の基盤を広げ、インパクトを高めることができます。この理由から、私たちはすべてのロータリー、ローターアクト、インターアクトクラブがロゴを最新のものとし、ロータリーのビジュアルブランディングの指針に準拠するよう奨励しています。

ロータリーでは、ロータリーに対する一般の人たちの認識と、世界の人たちがロータリーのどの側面に最も関心が寄せているかについて調査を進めてきました。私たちが収集している情報によって、参加や入会の主な対象者を特定できるだけでなく、今後のコミュニケーションや参加の戦略を立てる一助となります。 

新しいブランドリソースセンター

ブランドリソースセンターを一新しました。 クラブやプロジェクトの推進に役立つツールを簡単に見つけられるようになり、一貫し、統一した素材を提供できるようになりました。操作がより早く、ナビゲーションも簡単になったブランドリソースセンターは、My ROTARYのアカウントがなくてもアクセスすることができます。動画、以前のサイトよりも4倍の数の画像、簡単に利用できるテンプレートなどがあり、クラブが独自に資料を作成することができます。 

アップグレード以来、ブランドリソースセンターへの訪問数は30％増加しました。会員からのフィードバックに基づき、テンプレートやユーザーインターフェイスを引き続き向上させていくほか、新たな素材も作成していきます。

私たちが力を合わせれば、単独で行うよりはるかに大きなインパクトをもたらすことができます。 

大規模プログラム補助金

ロータリーの大規模プログラム補助金は、末永い変化をもたらす上ですでに成果を収めている、ロータリー会員主導で、証拠に基づいたプログラムを支援するものです。すでにこのアプローチは成果をあげており、私たちが協力する地域社会やロータリー内部でも好ましい影響が出ています。

2021-22年度の受領プログラムである「ナイジェリアでの家族の健康のための協力」は同国の妊婦、母親、新生児のためのケアの質の向上および保健・医療に関する教育を通じて、母親と新生児の死亡率を低下させることを目指しています。このプログラムは、ナイジェリア保健省と地元の専門医師会との緊密なパートナーシップのもと、母子のリプロダクティブヘルス・ロータリー行動グループが主導しています。ロータリーでは、母子の健康分野での今後の活動の一助とするため、このプログラムから学んだことを生かしていくことを計画しています。 

大規模プログラム補助金の最初の受領プログラムである「マラリアのないザンビアのためのパートナー」は、2,500人の新しいコミュニティヘルスワーカーを研修し、必要な設備を提供し、支援を提供してきました。これにより、マラリア、下痢、肺炎の症例がより迅速に特定され、地域社会の人びとは自宅で治療を受けるか、近くの医療施設に紹介されようになりました。継続した供給・治療活動に関するロータリー会員によるザンビア政府へのアドボカシー活動は、このプログラムの持続的な成功に欠かせない要素となってきました。このプログラムがもたらしている成果のおかげで、世界的にマラリアを根絶するために取り組んでいる他団体が関心を寄せています。

ロータリー平和センター

ロータリーの平和構築活動において、今年度には新たな進展がありました。ロータリー財団管理委員会は、次のロータリー平和センターのホストパートナーとして、トルコのイスタンブールにあるバチェシェヒシュ大学を承認しました。新しいセンターは、中東と北アフリカにおける平和構築の取り組みを専門とするフェローのために、平和と開発研究における1年間の専門能力開発修了証を提供します。

最初のフェローの募集は2024年に開始され、プログラムは2025年初頭に始まります。 

グローバルなパートナーシップ 

ロータリーは引き続き、世界中のパートナーと共に、参加者基盤の強化と拡大を図っています。戦略パートナーの一つである経済平和研究所とは、ロータリーの平和構築ネットワークを拡大する取り組みを進めています。また、Global Partnership for Educationと協力し、女子の通学や学習の支援を行っているほか、米国開発庁とも引き続き協力し、持続可能な水と衛生サービスの提供や衛生に関する推進活動を実施しています。これらすべてのパートナーシップによって、会員が関わる活動に好ましい成果が出ています。

また、アショカ、ハビタット・フォー・ヒューマニティ、国境のない調停者団、平和部隊を含むロータリーの奉仕パートナーシップを通じたリソース、ネットワーク、機会について引き続きクラブや地区に推進しています。ロータリーのプロジェクトパートナーであるシェルターボックスは、定期的に会員と協力して、災害に迅速に対応し、一時的なシェルターやその他の必要物資の提供を行っています。

ロータリーはまた、以下からパートナーシップ資金を受けています：

• 米国国際開発庁（USAID）と議会国際リーダーシップ局：米国といくつかのユーラシア諸国との間の大西洋横断的な関係構築を図っています。
• 米国開発庁からイタリアの新型コロナ対応のための資金
• エレノア・クリック財団：Power of Nutritionと共に、エチオピアでの栄養状況を改善する活動を行っています。

ポリオ

ロータリーは、ビル＆メリンダ・ゲイツ財団とのファンドレイジングのパートナーシップを延長しました。ポリオの根絶を完遂させ、今後3年間、毎年5,000万ドルを集めることにコミットするためであり、ロータリーが集めるすべての寄付に対し、ゲイツ財団から2倍の上乗せが行われます。10月の世界保健サミットで、ポリオ根絶に対する世界の支援は新たな高みに達し、ロータリー、国際パートナー、寄付国がポリオ根絶に向けて合計26億米ドルを誓約しました。 

世界ポリオデー（10月24日）には、118カ国のロータリークラブが地域社会で行事を主催し、会員はポリオプラスに75万米ドルを寄付しました。会員はまた、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターといったソーシャルメディアでポリオ根絶に関するコンテンツを掲載し、3,100万人以上の人びとにリーチすることができました。 

4月24～30日の世界予防接種週間には、グローバルなプラットフォームを生かして、ワクチンの重要性を強調しました。ワクチン接種により、世界中でポリオの症例が99.9％減少し、推定2,000万人の子どもがポリオによって身体まひとなることを防ぐことができました。

ロータリー会員は引き続き、ロータリー財団を通じて、地元や海外の地域社会で変化をもたらす活動に注力しています。2月1日現在、2億2,620万ドルの寄付が集まっており、今年度の目標である4億3,000万ドルの達成に近づいています。 

ファンドレイジングにおける成功の例：寄付の火曜日（11月29日）に、ロータリー財団への寄付が110万ドル以上集まりました。最も積極的に答えたクラブには、バハマ、台湾、米国のクラブが挙げられます。 

Raise for Rotaryが2020年に導入されて以来、会員はこのピアツーピアのプラットフォームを使用して1,900以上の募金ページを作成し、140万米ドルを集めました。

 財団の恒久基金への寄付は、未来のロータリー会員が持続可能なプロジェクトを計画、実行していくために必要な財源となります。現在恒久基金には15億4,400万ドルの寄付が集まっており、2025年までに20億2,500万ドルの目標達成に着実に向かっています。 

災害救援基金

パキスタンで発生した未曽有の洪水とウクライナで続く戦争を受け、ロータリーはパキスタン洪水救援基金とウクライナ救援基金を設立しました。寄付者は、12月31日まで、ロータリー会員が主導する救援活動に直接寄付することができます。

トルコとシリアが今年初めに壊滅的な地震に見舞われた際、2月6日から3月31日までの災害救援基金へのすべての寄付は、地震救援プロジェクトを支援するために使用されました。 

3月1日現在、ロータリー財団の災害救援基金に240万米ドルが寄付されています。同基金から2023年に1,140万米ドル以上が配分され、人道支援を提供し、世界中の地域社会を支援した230以上の災害救援補助金として生かされました。 

私たちが共に協力すれば、末永く続く好ましい変化をもたらす力に限界はありません。新たなロータリーの年が近づく中、今後も、より大きなインパクトをもたらし、参加者の体験を向上させ、適応力を高め、参加者の基盤を広げていくことを楽しみにしています。